多くの在庫システムは、「棚A3」「キャビネット2」のような場所名の単位で在庫を追跡します。Tooling Metricsは5階層まで管理します。加工現場の工具運用は、1つの場所名では表しきれないほど複雑だからです。
組織は最上位の階層で、会社を表します。この階層で複数拠点の運用に対応します。工場や建物ごとにそれぞれの倉庫を持ちながら、同じカタログ品のライブラリ、在庫品目のデータベース、レポートを共有できます。
倉庫は、納入先住所を持つ建物または保管施設です。購入注文の宛先は倉庫になるため、この階層は重要です。購入注文を確定すると、システムは品物がどの建物に届くかを把握し、それに応じて受入を振り分けます。
倉庫アクセスポイント(WAP)は、出庫、受入、返却、棚卸などの在庫作業を行う作業場所です。WAPの目的は移動を最小限にすることです。倉庫を複数のWAPに分け、各機械を最も近いWAPに割り当てます。出庫リストを生成するとき、システムはその機械に割り当てられたWAPの在庫を優先します。そのWAPの在庫が足りない場合に限り、同じ倉庫の別のWAPや上位倉庫まで範囲を広げます。作業者は建物を横切らず、最寄りの場所へ行くだけで済みます。WAPには、ToolingMetrics WAPデスクトップアプリを実行する専用コンピューターを接続できます。現場向けに設計されたタッチ操作の画面で、倉庫作業を1つずつ案内します。WAPの3Dモデルは、各保管設備のパラメトリックモデルから自動で組み上げられます。STEPファイルをアップロードする必要はなく、設定したパラメータ(設備の種類、寸法、モジュール数)から設備の形状を生成し、各設備に設定したX/Y/Z座標に配置します。こうしてできる空間マップにより、配置を覚えていなくても、誰でも任意の保管位置の正確な物理アドレスにたどり着けます。
保管設備は、保管スロットを収める実物の設備です。工具ホルダ用トレイを備えたモジュール式の引き出しキャビネット、オープンラック、回転式カルーセル、自動払出機などがあります。種類ごとに物理的な構造が異なり、それぞれ専用のパラメータで表します。システムはこのパラメータから3D形状を自動生成するため、画面上の配置が実際の設備と一致し、作業者を正しいスロットへ案内できます。
保管位置は在庫の最小単位です。各保管位置は、アドレス、寸法、3D位置を持ちます。作業者に在庫品目の取り出しを指示するとき、システムはWAP → 保管設備 → モジュール → 保管位置という完全な経路を示します。
ここまで細かく管理する理由
Section titled “ここまで細かく管理する理由”この細かさによって、案内付きの作業ができるようになります。「ドリルはキャビネット2にある」と伝える代わりに、「倉庫アクセスポイント1へ行き、工具用引き出しキャビネットを開けて引き出し3を引き出し、2行4列の保管位置から取り出す」と指示できます。探す必要も推測する必要もなく、取り違えも起きません。
自動収納を可能にしているのも、この精度です。保管ルールで保管位置を指定すると、システムは収納伝票を生成し、在庫品目を置くべき正確な物理位置へ在庫担当者を案内します。倉庫のデジタルツインによって、保管ルールは抽象的な方針から具体的な作業指示に変わります。
WAPを独立した階層にする理由
Section titled “WAPを独立した階層にする理由”WAPという階層があるのは、最適化のためには、物理的にどこに収まっているかだけでなく、機械への近さで設備をまとめる必要があるからです。1つのWAPに、工具キャビネット、引き出しユニット、自動払出機がまとまり、近くの機械群に供給することもあります。機械をWAPに割り当てると、スケジューラはそのWAPの在庫から優先して需要を満たし、保管位置から主軸まで工具が移動する距離を最小化します。3Dモデルの単位としてもWAPが適しています。倉庫単位では粗すぎ、設備単位では細かすぎるためです。WAPは、物理的なアクセスの単位としても、業務上の割り当ての単位としても適切な単位です。