同じ実物の切削工具でも、ライフサイクルのどの段階を見ているかによってTooling Metricsでの呼び方が変わります。この用語集では各用語を一度だけ定義し、ドキュメント全体で一貫して使います。
基本の関係:カタログ品 → 工具アセンブリ → 在庫品目 → セット工具
Section titled “基本の関係:カタログ品 → 工具アセンブリ → 在庫品目 → セット工具”次の4つは最も混同されやすい用語です。いずれも同じハードウェアを、異なる段階で表します。
| 用語 | 意味 | 管理するモジュール |
|---|---|---|
| カタログ品 | 購入できる製品のカタログレコード。1つのメーカー品番と、そのISO 13399パラメータ、3Dモデル、図面を持ちます。 | ライブラリ |
| 工具アセンブリ | 組み立てた完成工具のデジタルモデル。機械で使える形にカタログ品を組み合わせたもの(ホルダ+コレット+エンドミル)です。CAMと工程計画に使います。 | ライブラリ |
| 在庫品目 | 在庫レコード。カタログ品を在庫に同期し、数量、保管位置、原価を追跡できるようにしたものです。 | 在庫管理 |
| セット工具 | 工具アセンブリの設計に従い、在庫品目から組み立てた現場の実物の工具。番号、場所、状態、履歴を持ちます。 | 生産管理 |
この並びは「同じハードウェアの各段階」を表し、厳密な直列処理ではありません。工具アセンブリと在庫品目は、それぞれカタログ品から独立して作られます。工具アセンブリから在庫品目が生まれることはなく、在庫品目が工具アセンブリから作られることもありません。両者が合流するのは最後の段階、つまり工具アセンブリの設計に従って(シリアル管理された)在庫品目からセット工具を組み立てるときだけです。
以下は英語の用語順に並べた定義です。
状態(Condition) — 単独では使いません。何の状態かによって、次の3つの異なる意味を持ちます。
- 工具の状態 — 実物の工具の摩耗状態。
stateDiagram-v2
direction LR
state "不明" as unknown
state "未使用" as uncut
state "使用済み" as used
state "予備警告" as pre_warning
state "警告" as warning
state "寿命到達" as expired
state "破損" as broken
[*] --> unknown
unknown --> uncut
uncut --> used
used --> pre_warning
pre_warning --> warning
warning --> expired
used --> broken
pre_warning --> broken
warning --> broken
broken --> uncut
expired --> uncut
broken --> [*]- シリアル管理個体の状態 — 実物1個の保有・整備の状態。
stateDiagram-v2
direction LR
state "新品" as brand_new
state "使用済み" as used
state "要整備" as need_service
state "整備中" as under_service
state "再生品" as refurbished
state "廃棄済み" as scrapped
[*] --> brand_new
brand_new --> used
used --> need_service
need_service --> under_service
under_service --> refurbished
refurbished --> used
used --> scrapped
need_service --> scrapped
under_service --> scrapped
scrapped --> [*]- 保管状態 — 保管ルールの振り分け設定。どの状態の在庫をどの保管位置に置くかをシステムに指示します。数量管理の在庫品目は追跡すべき固有の状態を持たないため、これは個体ごとの状態ではなく、振り分けの目安です。
切削データ(Cutting Data) — 工具アセンブリ、工程、被削材ごとに定義した、検証済みの切削条件(速度、送り、切込み)。これらから主軸回転速度、送り速度、材料除去率、トルクを算出します。ライブラリを参照してください。
ダッシュボード(Dashboard) — 1つの監視目的に合わせて複数のウィジェットを配置した画面。分析を参照してください。
デジタルスレッド(Digital Thread) — 工程設計、購買、在庫、生産、分析を、手作業の再入力や分断された記録なしでつなぐデータの流れ。工具のデジタルツインを参照してください。
デジタルツイン(Digital Twin) — 実物の工具ごとに、場所、構成、状態、原価をリアルタイムに表す記録をシステム内に持つ考え方。工具のデジタルツインを参照してください。
グループ(Group) — レコードの種類ごとに同じ権限レベルを共有するユーザーの集まり。権限モデルの仕組みを参照してください。
GTC(汎用工具カタログ、Generic Tool Catalog) — ISO 13399を基盤とする業界のデータ標準。メーカーは製品カタログを、この標準に沿った機械可読な形式で公開します。
GTCパッケージ(GTC Package) — システム間で工具データを交換するGTC形式のファイル。メーカーのパッケージをインポートすると、技術データ一式がライブラリに登録されます。1つ以上の工具アセンブリをGTCパッケージにエクスポートすることもできます。GTCパッケージをインポートするを参照してください。
接続(Interface) — ある部品が別の部品にどう取り付くかを表す接続コード。同じ概念を接続の両側に使います。カタログ品は接続に使える接続コードを持ち、機械構成部品や工具位置は機械側で利用できる接続コードを持ちます。両者を照合することで、システムが適合性を自動で検証します。
内部カテゴリ(Internal Category) — 在庫品目を階層的にまとめる分類。既定の使用原価設定を持ち、所属するすべての在庫品目がそれを継承します。内部カテゴリを参照してください。
在庫調整(Inventory Adjustment) — 棚卸の結果に合わせてシステム上の数量を修正する文書。在庫調整を参照してください。
ISO 13399 — 切削工具の形状を構造化パラメータで記述する国際規格。カタログ品はISO 13399データを持つため、寸法を機械で読み取れます。
ジョブ(Job) — 1回の機械段取り。1台の機械で1回のクランプ中に行う一連の工程です。通常はプロジェクトにまとめますが、プロジェクトに属さない単独のジョブも作成できます。ジョブを参照してください。
機械(Machine) — CNC工作機械のレコード。マガジンのスロット(工具収納部)、取り付けたセット工具、使用原価の履歴を持ちます。機械を参照してください。
機械構成部品(Machine Component) — 工具位置をまとめて保持する、機械上の主軸ヘッド、タレット、くし刃台などの物理的な単位。機械を段取りするを参照してください。
工具位置(Machine Tool Location) — 機械構成部品上の番号付きスロット(主軸、タレットのステーション、くし刃台のスロットなど)。ここにセット工具を取り付けます。工具収納部を管理するを参照してください。
材料(Material) — ISO 513グループ(P/M/K/N/S/H)とVDI 3323サブグループで分類した被削材。材料ごとに切削データを定義します。材料を参照してください。
移動明細(Move Line) — ある数量が1つの場所から別の場所へ移動したことを表す最小単位のレコード。出庫、移動、返却、受入はいずれも移動明細で構成されます。在庫モデルの仕組みを参照してください。
NCプログラム(NC Program) — ジョブに添付するCNCプログラムの参照情報。工具番号の割り当てを含みます。NCプログラムを参照してください。
工程(Operation) — ジョブ内の1つの加工ステップ(例:正面フライス加工、ポケット荒加工、穴あけパターン)。工具アセンブリと切削データを割り当てます。工程を参照してください。
加工部品(Part) — 製造する工作物。工程設計プロジェクトが生み出す対象です。加工部品を参照してください。
出庫リスト(Pick List) — 指定した在庫品目を保管位置から取り出すよう作業者に指示する文書。出庫リストを参照してください。
プロジェクト(工程設計プロジェクト、Engineering Project) — 加工部品の生産計画全体。それぞれ工程と工具アセンブリを持つジョブを順序付きでまとめたもので、繰り返し生産に再利用できます。リリースすると段取り表を生成します。プロジェクトを参照してください。
購入注文・購入受入・購入品収納(Purchase Order / Receipt / Restock) — 調達の流れ。仕入先への注文、届いた品物の確認、保管位置への収納です。購買管理を参照してください。
返却リスト(Return List) — 機械から戻る使用済み工具と、その状態を記録する文書。返却リストを参照してください。
廃棄リスト(Scrap List) — 寿命を終えた在庫品目を除却し、在庫から取り除く文書。廃棄リストを参照してください。
採番設定(Sequence) — 文書IDの番号付け規則(PO-2026-0001)。採番設定を参照してください。
シリアル管理個体(Serialized Item) — 固有のシリアル番号で追跡する、在庫品目の1個。個別の状態、価値、整備しきい値、履歴を持ちます。在庫品目の個体管理と数量管理を参照してください。
整備注文(Service Order) — 在庫品目を整備のために仕入先へ送り、その戻りを追跡する購買文書。整備注文を参照してください。
段取りアシスタント(Setup Assistant) — ジョブの工具一覧を読み取り、必要なセット工具と出庫リストを1回の操作で作成するウィザード。段取りアシスタントの使い方を参照してください。
段取り表(Setup Sheet) — 作業者がジョブの段取りに必要な情報(工具、スロット、オフセット、パラメータ)をすべてまとめた、印刷またはデジタルの文書。段取り表を参照してください。
保管ルール(Stock Rule) — 特定の状態の在庫品目をどこに保管し、どの数量で補充を開始するかを定めるルール。保管ルールを参照してください。
保管設備・保管モジュール・保管位置(Storage Device / Module / Location) — WAP内の物理的な保管階層。キャビネット、その中の引き出しや棚、その中の具体的な位置です。倉庫が5階層で構成される理由を参照してください。
工具収納部(Tool Crib) — 機械の工具マガジン。工具を保持する番号付きスロットで、機械のレコードに反映されます。工具収納部を管理するを参照してください。
工具寿命(Tool Life) — 工具の1回分の使用期間。切削能力が尽きるまでに累積した使用時間です。工具の寿命上限と比較し、状態の警告に使います。工具の使用時間を記録するを参照してください。
工具移動(Tool Transfer) — セット工具を場所間で移動する文書。通常は組立ステーションから機械への移動です。完了にすると使用原価を計上します。
使用原価(Usage Cost) — 在庫品目を出庫したり機械へ移動したりしたとき(出庫ごと)、機械にある間(1時間ごと)、または廃棄時(残存価値の全額を一括)に自動で計上される原価。工具の原価配賦の仕組みを参照してください。
倉庫アクセスポイント(WAP) — 倉庫エリアへ在庫を実際に出し入れする窓口。独自の保管設備、管理者、操作画面を持ちます。倉庫が5階層で構成される理由を参照してください。
ウィジェット(Widget) — ダッシュボード内の1つの設定済みデータ表示。指標、グラフ、表のいずれかで表示します。分析を参照してください。